「おやおや。これでは逃げ場がありませんね…。」
残された道は一つ。相手の意表をつくこと…。
スッ
素早く間合いを詰める。今度は俺から。名探偵はまさか俺から近寄ってくると思わなかったのか、一瞬隙ができる。その隙が命取りだよ、名探偵。器用な俺は…
「っわ!!」
無抵抗の腕を手錠(先ほど警官から拝借しましたv)で拘束するなんて朝飯前なんだぜ?
「形勢逆転ですね。」
息がかかるほど近くで余裕の笑みをくれてやる。実際は、間近にいる名探偵にドッキドキなんだけど…。
「ってめぇ…なにしやがる…。」
凄みを利かせて睨んでくる…。違う意味でもドッキドキだぁ。そういえばまだ、名探偵には黄金の足があったね。
「……強いて言うなれば、確保…ですか?」
そう言って、足払いをして押し倒す。支えを失った体はいとも簡単に崩れ落ちる。もちろん俺は紳士だから、衝撃を和らげる為にギリギリのところで名探偵の背中を支えた。黄金の足、封じたり!!…ま、それだけじゃないんだけど。
「って!!!!おい!!おまっ、まじでなに考えてんだよ!」
この体勢から抜け出そうと、下で必死にもがいている。
なにって…。そりゃぁ…。
「名探偵…。」
酷く真面目に呼びかける。すると相手は抵抗をやめ、聞く体勢になる。こんな状況でも、律儀に話を聞こうとするのは探偵の性だろうか?
「…好きです。」
前から抱いていた想いを口にする。言うことは、ないと思っていた想い。今がチャンスだと思った。名探偵の目が驚きで見開かれる。そして、次には複雑な顔になる。やっぱダメが…。
「…俺、っん!!!」
拒絶の言葉を聞きたくなくて、口を塞ぐ。下で、身じろぎ抵抗をする。こんなことができるのはこれが最後かもしれないと思ったら、切なさに胸が締め付けられて、感情のままその唇を貪った。
「ふっ…ん、…ぁ」
舌を絡めとり吸い付く。長い間キスを続けると段々と抵抗は弱まっていった。顔を離すと潤んだ瞳で見つめられた。浅い呼吸を繰り返す様子に、どくんっと心臓が波打った。
だめだ、何も考えられない。
残された道は一つ。相手の意表をつくこと…。
スッ
素早く間合いを詰める。今度は俺から。名探偵はまさか俺から近寄ってくると思わなかったのか、一瞬隙ができる。その隙が命取りだよ、名探偵。器用な俺は…
「っわ!!」
無抵抗の腕を手錠(先ほど警官から拝借しましたv)で拘束するなんて朝飯前なんだぜ?
「形勢逆転ですね。」
息がかかるほど近くで余裕の笑みをくれてやる。実際は、間近にいる名探偵にドッキドキなんだけど…。
「ってめぇ…なにしやがる…。」
凄みを利かせて睨んでくる…。違う意味でもドッキドキだぁ。そういえばまだ、名探偵には黄金の足があったね。
「……強いて言うなれば、確保…ですか?」
そう言って、足払いをして押し倒す。支えを失った体はいとも簡単に崩れ落ちる。もちろん俺は紳士だから、衝撃を和らげる為にギリギリのところで名探偵の背中を支えた。黄金の足、封じたり!!…ま、それだけじゃないんだけど。
「って!!!!おい!!おまっ、まじでなに考えてんだよ!」
この体勢から抜け出そうと、下で必死にもがいている。
なにって…。そりゃぁ…。
「名探偵…。」
酷く真面目に呼びかける。すると相手は抵抗をやめ、聞く体勢になる。こんな状況でも、律儀に話を聞こうとするのは探偵の性だろうか?
「…好きです。」
前から抱いていた想いを口にする。言うことは、ないと思っていた想い。今がチャンスだと思った。名探偵の目が驚きで見開かれる。そして、次には複雑な顔になる。やっぱダメが…。
「…俺、っん!!!」
拒絶の言葉を聞きたくなくて、口を塞ぐ。下で、身じろぎ抵抗をする。こんなことができるのはこれが最後かもしれないと思ったら、切なさに胸が締め付けられて、感情のままその唇を貪った。
「ふっ…ん、…ぁ」
舌を絡めとり吸い付く。長い間キスを続けると段々と抵抗は弱まっていった。顔を離すと潤んだ瞳で見つめられた。浅い呼吸を繰り返す様子に、どくんっと心臓が波打った。
だめだ、何も考えられない。
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「おやおや、これでは逃げ場がありませんね。」
俺も…おまえも。
今日は予告日だった。いつものように中森警部たちと愉快な追いかけっこを繰り広げ、十分楽しんだところで姿をくらました。しかし、どうやら忍び込んだ先には慧眼の名探偵が待ち伏せしていたらしい。
「よぉ、コソドロさん…。」
月明かりに照らされた顔は凶暴に美しい。不適に笑うその姿に何度見惚れただろう。
「これはこれは名探偵。今回のshowには参加されていないかと思っていましたよ。」
ある程度の距離を保つ。あのお得意の腕時計で狙われたらシャレにならない。それとも大きくなって、あの腕時計はもうしていないのだろうか?どちらにせよ油断はできない。
「そのとおりだ。お前のshowに参加する気はない。俺がここで幕をひいてやるよ。」
一歩一歩、距離を詰めてくる。俺が何を仕掛けているかわからないはずなのに…。なにか秘策があるのか? 幸い、ドアは俺の後ろ。だがハンググライダーは使えない。窓は彼の後ろだ。
「逃げようったて無駄だ。そのドアはもう開かない。お前の手にかかれば開くかもしれないが、俺に背を向けるのは命とりになると思うぜ?」
また前へ踏み出す。俺との距離は後僅か。
俺も…おまえも。
今日は予告日だった。いつものように中森警部たちと愉快な追いかけっこを繰り広げ、十分楽しんだところで姿をくらました。しかし、どうやら忍び込んだ先には慧眼の名探偵が待ち伏せしていたらしい。
「よぉ、コソドロさん…。」
月明かりに照らされた顔は凶暴に美しい。不適に笑うその姿に何度見惚れただろう。
「これはこれは名探偵。今回のshowには参加されていないかと思っていましたよ。」
ある程度の距離を保つ。あのお得意の腕時計で狙われたらシャレにならない。それとも大きくなって、あの腕時計はもうしていないのだろうか?どちらにせよ油断はできない。
「そのとおりだ。お前のshowに参加する気はない。俺がここで幕をひいてやるよ。」
一歩一歩、距離を詰めてくる。俺が何を仕掛けているかわからないはずなのに…。なにか秘策があるのか? 幸い、ドアは俺の後ろ。だがハンググライダーは使えない。窓は彼の後ろだ。
「逃げようったて無駄だ。そのドアはもう開かない。お前の手にかかれば開くかもしれないが、俺に背を向けるのは命とりになると思うぜ?」
また前へ踏み出す。俺との距離は後僅か。
「…じゃぁ、な。」
そう言って服部の家を出た。
「おん。ほな…さいなら」
また、のないサヨナラ。それをいつもの挨拶のように軽く交わした。恋人としての最後の会話。
始まりは俺からだった。元の身体に戻った後にすぐ告げた。鈍感なあいつを口説き落とし、同じ大学に通うよう説き伏せた。喧嘩なんてしょっちゅうした。でも幸せだった。あいつも幸せそうだった。何時からだろう、あいつの笑顔に陰りができたのは。本当は気付いてたんだ。いつからそんな風に笑うようになったかも、その理由も。だてに探偵やってる訳じゃねーんだぜ?でも見て見ぬフリをしてた。その原因は俺だから。あいつに言ったら全面否定されそうだけどな…。
終わりはあいつからだった。大学も卒業して、俺は腕利きの私立探偵。あいつは新米ながら有能な刑事になっていた。就職は地元で、と前々から言っていたあいつは卒業と同時に実家に帰った。不満はあったが、不安はなかった。遠距離だったが時間があれば会っていた。昔とは違い、時間に融通がきく俺がちょくちょく大阪にいった。本来ものぐさな俺にここまでさせるなんて、あいつっていう存在が俺にとってどんなに愛しいものなのかと実感させられた。それでも確実に時間は流れてお互いが仕事に忙殺され会える時間はどんどんと減っていった。それでも愛が薄れたとは思わなかった。ただ、もう限界かもしれないと、感じただけだった…。
『なぁ、もう終わりにせぇへん?』
なにを?とは聞けなかった。互いにもう分かりきっていたから。
『…そうだな。』
努めて冷静に答えた。もっと怒りとか、悲しみとか激情がこの身を支配するかと思ったが、自分が想像していたよりも心は穏やかだった。
『お前、長男で一人っ子だもんな。』
皮肉にとられないように出来るだけ軽い調子でいった。目の前で、昔から変わらない俺の大好きな目で、でも顔は幾分か大人びた服部が穏やかに笑った。
『そうなんや。せやから、ちぃとは親孝行せなな。』
昔ならなりふり構わずお互いだけを見ていられたかもしれない。恥ずかしい話、永遠を誓ったこともある。でも俺達はお互いがいればそれでいいと言えるほど子供ではなかった。
『そうだな。……結婚式には呼んでやるよ』
俺は目線を逸らして早口にそういった。直ぐに気持ちを切り替えられるほど、大人でもなかった。
『ははは…。先言われてしもーたな。』
そう言って服部の家を出た。
「おん。ほな…さいなら」
また、のないサヨナラ。それをいつもの挨拶のように軽く交わした。恋人としての最後の会話。
始まりは俺からだった。元の身体に戻った後にすぐ告げた。鈍感なあいつを口説き落とし、同じ大学に通うよう説き伏せた。喧嘩なんてしょっちゅうした。でも幸せだった。あいつも幸せそうだった。何時からだろう、あいつの笑顔に陰りができたのは。本当は気付いてたんだ。いつからそんな風に笑うようになったかも、その理由も。だてに探偵やってる訳じゃねーんだぜ?でも見て見ぬフリをしてた。その原因は俺だから。あいつに言ったら全面否定されそうだけどな…。
終わりはあいつからだった。大学も卒業して、俺は腕利きの私立探偵。あいつは新米ながら有能な刑事になっていた。就職は地元で、と前々から言っていたあいつは卒業と同時に実家に帰った。不満はあったが、不安はなかった。遠距離だったが時間があれば会っていた。昔とは違い、時間に融通がきく俺がちょくちょく大阪にいった。本来ものぐさな俺にここまでさせるなんて、あいつっていう存在が俺にとってどんなに愛しいものなのかと実感させられた。それでも確実に時間は流れてお互いが仕事に忙殺され会える時間はどんどんと減っていった。それでも愛が薄れたとは思わなかった。ただ、もう限界かもしれないと、感じただけだった…。
『なぁ、もう終わりにせぇへん?』
なにを?とは聞けなかった。互いにもう分かりきっていたから。
『…そうだな。』
努めて冷静に答えた。もっと怒りとか、悲しみとか激情がこの身を支配するかと思ったが、自分が想像していたよりも心は穏やかだった。
『お前、長男で一人っ子だもんな。』
皮肉にとられないように出来るだけ軽い調子でいった。目の前で、昔から変わらない俺の大好きな目で、でも顔は幾分か大人びた服部が穏やかに笑った。
『そうなんや。せやから、ちぃとは親孝行せなな。』
昔ならなりふり構わずお互いだけを見ていられたかもしれない。恥ずかしい話、永遠を誓ったこともある。でも俺達はお互いがいればそれでいいと言えるほど子供ではなかった。
『そうだな。……結婚式には呼んでやるよ』
俺は目線を逸らして早口にそういった。直ぐに気持ちを切り替えられるほど、大人でもなかった。
『ははは…。先言われてしもーたな。』
「帰りどーする?」
「カラオケでも行く?」
HRあとのざわめく教室。僕の観察対象である黒羽君も慌ただしく教室を出ようとしている。いえ、今の言い方では些か語弊が生じるかもしれません。正しくは今日も慌ただしく、でしょうか。前々から彼の行動には僕の理解を超えるものが多かったのですが、ここまで際立ってはいませんでした。しかしここ最近の彼の行動は異常と言えます。なぜなら、幼なじみである中森さんからの下校のお誘いまで断り一目散にどこかへ行ってしまうのですから。そして、毎日8時ごろに帰宅。(僕の名誉の為に言わせてもらいますが、僕は彼のストーカーではありません。あくまでも、怪盗キッドを捕まえるための努力だと思ってください。)では何が、世界的に有名な怪盗である彼を魅力しているのでしょうか?これは調べてみる価値ありですね。では有言実行です。そうそういつもまかれませんよ。今日こそは見失うことなく、尾行していきましょう。
やはり、家とは反対方向ですね。脇目もふらず、歩きなれている感がありますね。なにやら鼻歌まじりで上機嫌のようですし…。まさか、次の予告の下見でしょうか?でも下見をまだ日の落ちていない時刻からやるとも考えられません。下見でないとすれば…そうですね…。最近起こった出来事…。殺人事件なら数件手掛けましたが…。そう言えば、この前の現場で約半年以上姿を見せていなかった工藤君に会いましたね。と言っても、工藤君と黒羽君に接点などないと思いますし…。まぁ、よく声も容姿も似ていますが。初めてお会いしたときはびっくりしましたよ。あ、曲がるようですね。いつもここで見失うんですが、そんなこともあろうと今日はワトソン君にも出動してもらっています。上空からの方が見つけやすいでしょう。なるほど、いつも曲がってから走り出していたんですね。でも今日は上空のカメラであなたを捉えていますから見失うことはありませんよ。
はぁっはっ。体力勝負とは僕らしくありませんね。随分と長い間走っているきがします。ここの場所は…『米花町』。隣町ですね…。なんの変哲もない住宅街のようですが…。あ、あの家に入るようですね。………『工藤』…………まさか!ここは工藤君のお宅なのでしょうか…?
「カラオケでも行く?」
HRあとのざわめく教室。僕の観察対象である黒羽君も慌ただしく教室を出ようとしている。いえ、今の言い方では些か語弊が生じるかもしれません。正しくは今日も慌ただしく、でしょうか。前々から彼の行動には僕の理解を超えるものが多かったのですが、ここまで際立ってはいませんでした。しかしここ最近の彼の行動は異常と言えます。なぜなら、幼なじみである中森さんからの下校のお誘いまで断り一目散にどこかへ行ってしまうのですから。そして、毎日8時ごろに帰宅。(僕の名誉の為に言わせてもらいますが、僕は彼のストーカーではありません。あくまでも、怪盗キッドを捕まえるための努力だと思ってください。)では何が、世界的に有名な怪盗である彼を魅力しているのでしょうか?これは調べてみる価値ありですね。では有言実行です。そうそういつもまかれませんよ。今日こそは見失うことなく、尾行していきましょう。
やはり、家とは反対方向ですね。脇目もふらず、歩きなれている感がありますね。なにやら鼻歌まじりで上機嫌のようですし…。まさか、次の予告の下見でしょうか?でも下見をまだ日の落ちていない時刻からやるとも考えられません。下見でないとすれば…そうですね…。最近起こった出来事…。殺人事件なら数件手掛けましたが…。そう言えば、この前の現場で約半年以上姿を見せていなかった工藤君に会いましたね。と言っても、工藤君と黒羽君に接点などないと思いますし…。まぁ、よく声も容姿も似ていますが。初めてお会いしたときはびっくりしましたよ。あ、曲がるようですね。いつもここで見失うんですが、そんなこともあろうと今日はワトソン君にも出動してもらっています。上空からの方が見つけやすいでしょう。なるほど、いつも曲がってから走り出していたんですね。でも今日は上空のカメラであなたを捉えていますから見失うことはありませんよ。
はぁっはっ。体力勝負とは僕らしくありませんね。随分と長い間走っているきがします。ここの場所は…『米花町』。隣町ですね…。なんの変哲もない住宅街のようですが…。あ、あの家に入るようですね。………『工藤』…………まさか!ここは工藤君のお宅なのでしょうか…?